コンピューターシステムがこれだけ普及した現在、SEという職業もしだいに一般化してきた。職業として選ぼうとしている学生、仕事上いつの間にか顔を付き合わすようになった人、何らかの形でSEと接点のある人も多いだろう。しかし、SEという職業がどういうもので、ふだんはどんなことをしているのか、何に悩み、どんなことを考えているのか知る人は意外と少ないのではないだろうか。 穏やかでないタイトルが目をひくが、中堅SEの視点からリアルなSEの仕事をやさしい言葉で紹介しているのが本書だ。残業や膨大な打ち合わせ、クライアントや営業との確執から、ありがちなトラブルや職場の困った人、果ては合コンでの振る舞いまで、現場の流儀や空気を絶妙な比喩でユーモラスに伝えてくれる。ここで紹介されるトラブルやプロジェクトマネジメントの悩みは著者の実体験であるが、決して一個人の特殊な例ではなく、SEなら共感と苦笑なしには読めない一般的なものだ。 著者は「私なら入社前にここまで脅されたら多分やめている」と言うが、職業へのプライドと問題意識が全編を貫いているため、単なる業界暴露本に落ちていない。SEを目指す学生には就職雑誌やOB訪問からは決して見えない本当の仕事の中身が見えるだろうし、仕事でSEと関わる人にとっては、彼らの思考パターンや問題意識を知ることで、業務をうまくコントロールしていけるようになるかもしれない。まったく堅苦さのない本なので、多くの人に気軽に目を通していただきたい。(大脇太一)
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