年収の大幅ダウンやリストラなど、現実味を帯びてきた「ITキャリア・クライシス」の現実と、対応策を論じた1冊。「ITキャリア研究会」を主宰する元ITコンサルタント3名が、ITプロのキャリアについて、刺激的な議論を展開している。 とくに注目したいのは、専門誌に掲載された職種・企業規模・学歴・年齢別の給与テーブルを示しながら、きわめて具体的かつ冷静なアドバイスがなされている点。「現在IT関連で働く人がパソコンを使って駆使するあらゆる技術は『形式知』であり、今後は差別化が図れないため、給与面において安く買い叩かれることになるだろう」と、将来IT技術者が立たされるであろう深刻な状況を描き出し、IT技術以外のスキルを身につけることの重要性を指摘している。 概論ではあるが、システム思考やファシリテーションの重要性についても言及しており、ITコンサルタントを目指す人のみならず、一般のビジネスパーソンにとっても得るところが多い。また、参考文献に関して、読みごたえのある良書をセレクトしており、学習の指針としても役立つだろう。 本書の後半部分で「ITコンサルタントとしての最上位は、スーパーゼネラリスト」と著者らが言うように、今後、IT技術者にとってビジネスを学ぶ必要性は高まるに違いない。自分の将来のキャリアを真剣に考え始めた技術者に、ぜひ手にとってほしい1冊である。(土井英司)
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