SEを取り巻く環境は確実に厳しくなっている。景気の低迷とともにクライアントの予算縮小やシビアな投資効率評価に晒され、システムの存在意義が常に問われるようになった。その結果、経営に寄与しないシステムや、目的を理解しようとせず自分の考えだけを押しつける業者は淘汰されつつある。 システムとそのもたらす結果の両方に接する立場であるユーザー企業のSEたちによって書かれた本書は、本当に必要とされるSE像をあぶり出している。2部構成となっており、第1部「SEの仕事」では筆者らの経験を通して感じた、SEの仕事の本質を様々な角度から検証する。そして第2部「現場から生まれたモデリング」では、LFDによる設計の実践を解説する。 特にユニークなのは本書の核と言える第5章「仕事のとれるSE」だ。「これまで出会った優秀なSE」として、タイプの異なる実在の優秀なSEを紹介し、優秀なSEとは何か、SEに期待される能力や役割の本質は何かを突き詰めていく。資格等、技術知識からのみ論じられることの多かったSEという職業の価値について、現場の視点から光を当てていることは、現場のSEを力づけるだろう。 かつては、一部の人間にしかわからない「聖域」として批判の対象になりにくかったシステムが、現在のような状況に置かれているのはむしろ健全なことなのかもしれない。他のビジネスと同じ基準で評価されるようになれば、より顧客貢献度を高めるため、力をつけ、考え、本質を見抜く努力をしていかなければならないのは当然のことと言える。本書はSEという職業を再考するためのヒントとなるだろう。(大脇太一)
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